総量規制
そもそも、最近頻繁に世間で聞くようになった「総量規制」とは一体なんの事でしょうか?
金融庁は2010年6月までに、「改正貸金業法」が完全施行されることが決まりました。
この法律は、「金融機関は1人当たりの貸出額を年収の3分の1以内に抑える」ことを定めたものです。
(このことを「総量規制」と言います。)
【目的】
この法律の目的は、消費者金融(サラ金等)業者が個人に貸付をする場合、多重債務被害を防ぐために、1人当たりの貸出額を年収の3分の1以内に抑える制度です。
【債務者への影響】
A:金融機関からの借入額が年収の1/3を超えている場合には、新規・追加融資が受けられなくなる可能性が高い
B:返済能力を調査した結果、基準に満たない場合は源泉徴収表や収入証明などの提出が義務付けられるようになってしまいます。
金融業者の中には、既に収入証明の提示を求めたり、貸出枠の規制を掛け始めてきている業者も存在します。
総量規制はもう始まっています。
【最大の懸念】
新規融資・追加融資を受けられない債務者は、司法書士などの専門家に債務整理を依頼することになります。
この法律によって、債務整理を依頼する方が一気に増加することが予想されています。
債務整理が増えることになれば、当然過払い金返還請求や自己破産などが増える可能性が高くなります。
これまでの債務整理によってただでさえ厳しくなっている消費者金融の経営状態が一気に悪化し、倒産する可能性も十分すぎるほどにあります。
実際に、あのアイフルが私的事業再生にまで追い込まれ、準大手、中堅と言われるクレディア、アエルが民事再生法を申請し、事実上の倒産をしました。
あなたの大切な権利である「過払い金」に関しても、消費者金融が倒産してしまえば、ほとんど取り戻せないものと考えていいでしょう。
すでに債務者の方々には待ったなしの状況といえます。
とにかく急いでください!
※完済後でも過払い金請求をするとブラックリストに掲載されるとされていましたが、株式会社日本信用情報機構(JICC)が2010年2月15日に、過払い金請求返還に関する信用情報の削除を発表しました。(信用情報削除日は2010年4月19日以降)
詳細は当事務所までご相談下さい。
【より詳しく知りたい方へ】
もっと詳細をお知りになりたい方は下記の記事をご覧下さい。
さて、今回の貸金業法改正によって、金融機関は大別して2つの義務を負うことになります。
1.返済能力の調査義務
貸金業者は、貸付契約を締結するために、顧客等の返済能力の調査が義務づけられます。
また、個人が顧客等の場合には、指定信用情報機関が保有する信用情報(JICC、CIC、CCBなどの個人信用情報機関)を使用した調査が義務づけられ、規制内容に抵触する場合は、源泉徴収票等の提出も義務づけられます。
1〉 1社の貸付金額が50万円超となる貸付け
2〉 貸付金額と他貸金業者のこれまでの貸付残高の合計額が100万円超となる貸付
2.返済能力を超えた貸付禁止
顧客等の返済能力を超える貸付契約締結を禁止。
また、自らの貸付金額と他の貸金業者の貸付残高の合計額が年収等の3分の1を超える貸付けが原則禁止となりました。
1〉 貸付金額と他貸金業者のこれまでの貸付残高の合計額が年収の1/3を超える貸付け
簡単に説明しますと、s1社において合計で50万円までは今までどおり借入できますが、
500,001円になると源泉徴収票などの所得証明書の提出を必ず求められるということです。
また2社から借入れがある場合は、A社借入(40万円)+B社借入残金(70万円)の合計金額が100万円以上になる場合も所得証明書の提出が義務付けられています。
各業者が提出を求める所得を証明する書類に基づいて、信用情報センターに問合せ調査の結果、年収の1/3を超えると判明した場合は、新規借入れは一切出来なくなってしまいます。
例えば、自営業をしている方で、この100年に一度の不況の影響で、赤字決算で申告して収支がマイナスになっていれば、所得がないと判断されてしまう為、借入はできなくなってしまうのです。
年収が300万円の人の場合は、借りている金額の総合計額が100万円を超えている場合は新規貸出は停止になります。(100万を切れば開始になると思いますが・・・)
このことから判断されることは、主婦の方や派遣社員の方、パートアルバイトなどの低所得(年収130万~300万)の方は、新規利用の停止、利用枠の減額などを行われることが予測されます。
この規制が発生したことにより、一括返済を求められないか一番気にするところだと思いますが、余程延滞していない限りは、今まで同様に支払いをしていくだけだと思います。
但し、支払い状況が酷い場合は、一括返金を求められる可能性もあります。
既に支払いが困難になっている方は、恥ずかしいなどと言わずに、すぐに司法書士などの債務整理の専門家に相談するのがよいでしょう。